本を読む楽しさを貴方に

文庫詳細

  • 東京湾岸畸人伝
    • 東京湾岸畸人伝

    • 山田清機
    • 出版社/朝日新聞出版
    • 価格/本体1,600円+税
    • ISBN/ 9784023314672

     ノンフィクションというジャンルの本を読んでいて著者と取材対象との距離感を敏感に肌に感じるとき、読書がほんとうに愉しくなります。紀行であればその土地へ赴く前と去るときに、著者とその土地の風土との距離がぐっと変わっています。体験記であれば対象は著者自身ですが、対象としての体験との距離感の変化を読みながら追体験できるのが醍醐味です。事件のルポや評伝もしかり。ドキュメンタリー映画もしかり(と、私はおもっています)。本書はそういう意味でとても愉しく読んだのでした。
     東京湾岸。開発が進む中、失われそうな人と景色。
     (ベイエリアではなく)湾岸の営みや歴史の取材に向かうときと、取材を終えて帰るときに、著者にはまったく違う景色が見えていたに相違ありません。取材対象に踏み込むとき、著者は自分自身の心にも踏み込んだに相違ありません。
     読んでいくうちに、読者が東京の水辺を見る景色もまた変化することでしょう。
     文庫化された同著者の『東京タクシードライバー』(朝日文庫)もおすすめです。

    (本社 営業担当)