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あゆみBOOKSの歴史

あゆみBOOKSの前身は、江戸から明治へと時代が大きく変わる頃、日本橋東中通に店を構えた書肆文禄堂にあります。主人の名は堀野与七。京の童をもじり、京藁兵衛と号しました。古くは、江戸時代から、榑正町の紅屋といわれた老舗。それを継いだ藁兵衛は小説、戯作、川柳に凝り、「若いときは二度ない、遊べや騒げや」で、帳場に塵がつもり、やがて書肆を商うことになりました。

藁兵衛は、谷崎潤一郎の「幼少時代」にも登場します。「私は早くから小説家というものにいい知れぬ憧れを抱いていたので……藁兵衛の顔が見たさに東中通りへ出かけて、文禄堂の店先を行つたり来たりしたこともあった。」(『谷崎潤一郎全集』)。

本屋を商いながら、みずから筆を執った『日本五大噺』『滑稽類纂』という大冊物を刊行したりと、藁兵衛は一角の通人だったのでしょう。時はうつりかわり、藁兵衛の残した書肆文禄堂は、名をあらため、あゆみBOOKSとしていまにいきています。

幼少時代
  • 『幼少時代』
  • 著/谷崎潤一郎
  • 出版社/岩波文庫